だし【出し・出汁】

        
参考リンク
  ふしるい【節類】 
                    
いちばんだし【一番出し】
                     にばんだし【二番出し】

かつお節、煮干類や昆布、シイタケなどを湯のなかで煮出したもの。料理材料での不足している食味を補う役目を持つ。
そばの汁を作るためのだしの材料は鰹節を代表とする節類が主体である。煮干、昆布に関しては、うどんの汁に用いる場合が多い。
節類は、基本的にだし専用の材料として、魚を加工して作る日本独特の食品である。
この節類に限らず、煮干、昆布などその旨味成分だけを抽出するというのは日本独自のだしの取り方でもある。
節類の場合は、さらに、その旨味成分だけをより純粋に取り出すために、節を削って用いるのである。これら節類の製造法は、江戸時代初期に燻乾法が、さらには、中期にカビ付けという特殊な方法が考案され、現在に至っている。
土佐節は江戸時代より有名だが、他に薩摩、紀伊、安房、駿河、豊後、阿波、伊予、備前、日向なども、当時からの産地である。

節類の動物性と昆布など植物性のものを併用する方法も効果的である。関東では味つけしない状態のものを指すが、関西では醤油、塩などで調味ずみのもの、すなわち関東でいう甘汁と同義語に使われる。関西で調味していないだしは、「白だし」という。だしをとることを「引く」というが、これは抽出するの意。

辛汁用のだしの取り方

辛汁用のだしを取るには、鰹節(本節、亀節、あるいは両方の併用)を使う。
節は、釜の中の湯が煮たってから入れる。
節が釜の中で自然に返るような火加減にする。ひしゃくなどで中の鰹節をかきまぜてはいけない。

釜の中の湯が沸騰してから、鰹節の削り節を入れる。 強火で、加熱する。節が浮き上って動きだしたら、火加減を調節して、節が釜の中を静かに返るようにする。 釜の中を節が回っている状態。そばを茹でる時と同じように、釜蓋をして、燃料を節約する。 アクが生じるので、時々お玉 でアクをひく。
そして、小皿にだしを取って、だしの 出具合をだしの色や濃さで確かめる。




だし汁をこす準備をする。寸 胴の上にためざるを置く。 ためざるの上から、こし布をかぶせる。
こし布を敷き終えたところ。目の細かい布でよくこすことが、汁の保存性の面でも大切である。 揚げざるを釜の中に入れて、節を入れる。





両手で揚げざるを持ち、だし 汁を切るようにして、節を引き上 げる。 節を引き上げた揚げざるを、 そのまま寸胴の上にのせる。 だし汁を五合杓又は片手鍋を使ってくみだし、節の上からかけて、だし汁をゆっくりとこす。

甘汁用のだしの取り方

甘汁用のだしを別に取る場合は、鯖節を使うことが多い。鯖節は、鰹節に比べだしがでやすいので、節の量は少なく、かつ詰め時間も短くてよい。
だしの取り方自体は、鰹節の場合と基本的に同じだが、鰹節に比べ鯖節はアクがでやすいため生臭さが残らないよう、手早く入念に取ることが大事である。
ここでは、鯖節だけを使用したが、宗田節(目近節)を加えてもよい。


釜の中の湯が沸騰してから、鯖節の削り節を入れる。 強火で加熱する。節が浮き上って動きだしたら、火加減を調節して、節が釜の中を静かに返るようにする。 鯖節はアクがでやすいので、アクをていねいに取る。アクを取る時以外は、釜蓋をして、節をゆっくり返らせるようにする。
小皿にだしを取って、だしの出具合をだしの色や濃さで確かめる。



揚げざるを釜の中に入れて、節を引き上げる 節を引き上げた揚げざるを、そのまま寸胴の上にのせる。 釜からだし汁を五合杓あるいは片手鍋を使ってくみだし、節の上からかけて、\だし汁をゆっくりとこす。


汁の作り方
   
   @  甘汁の作り方
辛汁を、釜を使って辛汁用のだしとかえしを合わせて作る方法。
辛汁は、つけ汁であるから、そばにからむような濃い汁を作るのが目的である。
配合の比率は、標準としてはかえし1に対してだし3が一応の目安である。

湯せんは、「たんぽ」ともいう。
湯せんの目的は、鰹節、醤油など、四種の材料が、各々まだ分離しているので、これらを今一度なじませるために行う。
熟せんするたんぽは土たんぽを使う。金たんぽでは余り意味がない。金たんぽは、甘汁を温めておくのに用いる。また、薄い汁では余り効果がない。

寸胴からだし汁を、五合杓などを使って釜の中に移す。 ある程度、移し終えたら、寸胴を両手で持って、残りのだし汁を釜の中に移す。入れる時、余り泡をたてないよう注意する。
かえしを入れる。かえしは五合杓で底からよくかき混ぜ、濃度を均一にしてからくみだすようにする。 味淋を加える場合は、この段階で入れる。




中火でサッと火を入れる。かえしとだし汁を五合杓でよくかきまぜる。決して煮たててはいけない。 浮いてきたアクを木蓋で取る。煮たつ 寸前に火を止める。 寸胴に、だし汁と同じ要領で辛汁をこし入れる。
半日ぐらい放置し、冷めたところで、
寸胴から辛汁を土たんぽに移す。




湯せん
土たんぽに筆蓋(金網状の蓋)などをして、自然に冷まし、翌日まで保管する。 釜の底に、直火にならないように、木蓋を置く。 釜の中央、木蓋の上に、辛汁の入った土たんぽを置く。




銅壺の湯を五合杓で釜の中に入れる。
土たんぽの周囲に湯がはられたら、火 を入れ、弱火で45〜60分湯せんする。 8〜10%ほど詰まったら、土たんぽを釜から引き上げる。 湯せんにかけた辛汁をもう一度自然に冷まし、24時間ねかせてから使用する。

   A 甘汁の作り方
甘汁の取り方には、いろいろとあるが、これまで最も一般的な方法としては、辛汁を俗に「ばかだし」と呼ばれる「二番だし」で薄めて作る方法がある。ことに関東では、一般的な取り方である。
この場合、甘汁は汁の色が、すきとおってきれいな方が望ましいので、辛汁を朝とり、それを、すぐ二番だしでのばして使うことが多い。

先に甘汁用のだしの作り方を紹介したように、甘汁用のだしを別に取る場合は、辛汁同様、かえしとだしを合わせて甘汁を作る。この場合の配合の割合は、もちろんだしの割合が辛汁に比べはるかに多く、標準的には、かえし1に対してだし10の割合でまぜ合わせる。この場合の甘汁の作り方そのものは先に紹介した辛汁の場合と基本的に変わりがない。
いずれにしろ甘汁の方は、辛汁のようにねかしたり、湯せんする必要はなく、取りたてのものを使うのがよい。
原則的には、その日に作った甘汁はその日のうちに使い切るように心がけることである。
ここで、甘汁の作り方として、二つの方法を紹介したが、後者は、汁を二種類取る手間がかかるが、前者には、次のようないくつかの欠点があるので一概にはいえないが、できれば後者のやり方が好ましい。
・辛汁をばかだしで薄めるので、どうしても辛汁の使用量が多くなり、甘汁の原価が高くなる。
・辛汁には、砂糖、味醂が多く入っているので、汁が甘くなりすぎるきらいがある。
・辛汁を朝取って、その日のうちに使つてしまうことになる。
甘汁は、吸う汁なので、濃いだしを使う必要はなく、むしろあっさりしてくどくない鯖節とか、あるいは宗田節の独特の味を利用して、やや塩辛い味に持っていくのがよい。そのためには味醂の入っていないかえしと合わせる後者の方法が好ましい。
ただし、この考え方は、あくまで関東の基本であり、関西とは異なる面が多い。