はなまき【花巻き】
はなまきそば【花巻蕎麦】



「花巻きそば」の略。かけそばに焼き海苔を乗せ、薬味はおろしワサビが決まりでネギはハつけない。海苔の香りとそばの味を楽しむ趣向。
安永(1772〜81)頃からある古い種物。
文政八年(1825)版『今様職人尽歌合』下に「夜桜をみにくる人に売らんとて花まき蕎麦のにほふゆふぐれ」と詠まれている。

「浅草海苔をあぶりて揉み加ふ」と、江戸末期の『守貞漫稿』に記されているが、すでに安永頃(1772〜80)にはそば屋の品書きの一つとして定着していたようである。
かけそばに、もみ海苔を散らしただけの「花まき」が持てはやされたのは、上等な焼海苔の磯の香と、そばの淡い風味がうまくとけあう点が好まれたのであろう。この組み合わせの妙味が「花まき」の魅力であった。
「花まき」の名は、浅草海苔のことを″磯の花″にたとえられることからきている。
この「花まき」を出す時には、かけ汁をかけたそばに、もみ海苔をかけてから、かけ蓋をのせるのが常法である。湯気が香りを引きだし、その香りが、汁やそばに飽和したところを見計らって蓋を取る。中台の気のつかいどころである。今は、蓋つきの丼で提供するのもよい。
海苔は、厚みの薄い極上の海苔がふさわしい。「ざる」や「玉子とじ」に使う焼海苔でもよいが、ややかたすぎる。厚みの薄い極上の海苔は、値段は倍近くするが、香りが良いだけでなく、汁に溶けこんで、汁と海苔とが渾然一体となった味は何ともいえない。いわば「花まき」の醍醐味といってもよいだろう。薬味は磯の香を賞味する上から、普通、何もそえない。もし、薬味をそえるとすれば、わさびだけにする。
しかし、非常に淡白な風味を味わうものだけに、最近では、注文が少なくなった品書きの一つである。それだけに、極上の海苔を使用すること、提供するタイミングに気を使うことなど、「花まき」本来の持ち味を大事にすべきであろう。

海苔は二枚重ねにして、半分に軽く折 り曲げ、手に持ちやすいようにする。 火は弱火で、ガス台の上に網を置き、四すみに火をあてるようにして、海苔をあぶる。
            材 料

     海苔         少量
     甘汁        250〜280cc
海苔の裏表両側の四すみに軽く火をあてるようにする。一枚だけの場合は、片側だけに火をあてる。 香ばしい海苔の香りがしてきたら、海苔を火からはずし、あおいで熱をさますと同時に、海苔をパリッとさせる。




乾ききっているうちに両手で素早くもみほぐす。 両手の中で海苔をもみほぐす。ここでは、海苔をかけてから、かけ汁を注ぐ方法をとった。 もみほぐし終えたら、湯通しして温めたそばの上に海苔をかける。

海苔をかけ終えたら丼の端から煮立てた甘汁を注ぎ、蓋をする。