かえし【返し】
          参考リンク  からじる【辛汁】 
                    もりじる【盛り汁】
                    つけじる【つけ汁】

                    あまじる【甘汁】

                 だし【出し・出汁】
                 ざるじる【笊汁】


醤油と砂糖を混ぜ合わせたものをいう。これに、味醂を加える場合もある。
醤油を「煮返す」ことからきた言葉といわれている。返しをねかせることで、醤油の角をとり、まろやかにする。また、醤油の劣化を抑えるなどの効果があるとされている。そば店では、一般的に返しにだしを合わせてだし汁を作る。また、返しをベースにだしやみりんなどを合わせることで天つゆや丼の汁など各種の料理に使用する。
また、返しの別称は汁の元となるところから【もとじる(元汁)】ともいう。

この単純な組み合わせではあるが、かえしの取り方には、いくつかの方法がある。
それらを大別すると、次の三つになる。
  @ 本がえし
  A 生がえし
  B 半生がえし
この三つの違いを簡単に説明すると、 醤油と砂糖を合わせたて加熱するものを本がえし、水で溶かした砂糖を醤油と混ぜて加熱しないものを生がえしという。加熱したものと、しないものを合わせる方法半生がえしという。製法、材料やねかせる期間など店により様々で、また、返しを使わない場合もある。
 

本がえしの取り方

本がえしの中でも、醤油に直接砂糖を入れて加熱する方法の他に、砂糖を水でとかし醤油を加えて加熱する方法などがある。ここでは、前者を紹介するが、多量のかえしを一度に取るのでなければ、この方法が一般的である。
砂糖を加える時期は、醤油が加熱され約80度Cになってからである。この時、よくかきまぜて完全に砂糖をとかすことが大切である。
味醂を入れる場合は、この後、すぐに入れるか、あるいは醤油を入れた後に、入れておいてもよい。
弱火にして加熱を続けると、表面が金色の膜でおおわれる。少しすると、最初の沸騰が起きて、表面に窓ができる。この時が、火を止めるタイミングである(表面の温度は約85度C)。
金色の膜のようなものは、木蓋に付着させて、ある程度取り除く。
本がえしで注意することは、かえしを絶対沸騰させないことである。醤油の色が急激に褐変するからである。

ここでは、醤油18g、砂糖3・5s、味醂1.8gでかえしを取った。

釜(ここでは二番釜を使用)の中に醤 油18gを入れる。 醤油の泡がおさまるのを待つ。
火をつけ、醤油を温める。 温まってくると、徐々に泡というか、 アクのようなものが表面にでてくる。




表面が段々とアクのようなもので埋まってくる。火は中火。強火だと、醤油が釜の壁面の上部にこげつく可能性がある。 表面がアクのようなものでほぽおおわれる。醤油の温度は約80度Cである。 この段階で、砂糖(上白糖)約3.5sを醤油の中に入れる。 五合杓で、静かに砂糖がとけるまでか きまぜる。




砂糖がとけきったら、火を弱め、表面 が落ちついたのを見計らって、味醂1.8gを入れる。 味醂は、はねないように、びんのロを表面に近づけて入れるようにする。
弱火にして、しばらく炊く。表面は金 色の膜のようなものでおおわれる。 しばらくすると、底の下から沸き上ってきて表面に雲間ができる。この段階で、火を止める。




落とし蓋のようなもので、表面をなぞ るようにしてすべらし、アクを取る。 木蓋についたアク。 アクをササラ(細かく割った竹をたば ねた道具)で木蓋から取り除く。 ある程度、アクを取り除く。完全に取り去る必要はない。






かえしを五合杓を使って釜からかえしがめに移す。かえしをこぽさないように、片手鍋を用いるとよい。自然に冷ます。 本がえしが熱い間はすのこの蓋を、冷めてからは木蓋(脚付で密閉しないようにしてある)をし、数日間熟成させる。

取ったかえしは、かえしがめに入れて、数日間ねかせることが必要である。これによって、醤油の角がとれ、あたりがやわらかくなる。ねかせる場所は、以前はかえし蔵といって、半地下に作り、土を掘ってかえしがめを七分目ほど埋めたものである。
つまり、日光の入らない、暗くて、ひんやりした冷暗所がよい。ことに、生がえしの場合は、温度の高い場所におくと、醤油が褐変現象を起こしやすいので注意する。
また、かえしをねかす場合は、蓋で密閉してはいけない。常に空気にさらす必要がある。これによって、醤油特有のツンとした臭いがぬけるからである。かえしを取る場合、一週間分位入る量のかえしがめを二つ用意するとよい。この場合一本がなくなった時に、新たにかえしを取ればよいことになる。一つの場合は、途中までなくなったら、新たにつぎたせばよい。

生がえしの取り方

生がえしは、醤油を加熱しないで、砂糖と合わせて作る方法である。
砂糖は、完全に沸騰した湯の中に入れてとかす。そうすると、砂糖がこげつかないからである。この場合、水あめ状になるまで加熱して、とかすことが大切である。これを、かえしがめに入れた醤油に加えて、よくかきまぜれば、生がえしになる。
生がえしに、味醂を入れることは少ないが、入れる場合は、この後に入れてよくかきまぜる。
また、砂糖を味醂でとかす場合もある。
生がえしの場合は、砂糖をとかすために加熱するだけなので、容器は小さくてすみ、作業的には楽な面もある。、生がえしは、本がえしに比べ、醤油の特色が残っており、ややあたりの強いスッキリした感じの味になる。
生がえしも、ねかすわけであるが、本がえしに比べ、ねかす期間は、一般的にやや長い傾向にある。

かえしがめに醤油18gを入れておく。 鍋に0.9gの水を入れ、わかす。完全に沸騰してから砂糖3.5gを入れる。そうすると砂糖がこげない。 お玉で、かきまぜて、砂糖をとかす。 写真のように吹き上がるまで、加熱する。




吹き上がるが、すぐ落ちつく。それまで濁っていた砂糖水が、透きとおり、完全にとけた水飴の状態になる。火を止める。 がえしがめの中の醤油を五合杓で、ぐるぐるかきまぜる。 醤油がぐるぐる回っている間に、火か らおろした熱いままの水飴をかえしがめに入れる。 入れ終った鍋に、かえしを少し入れ、鍋についている濃い砂糖液を洗う。






残らずかえしがめに入れ、水飴が醤油 によくとけこむように、かきまぜる。 かえしがめに木蓋をかぶせ、数日間冷暗所でねかせる。


半生がえしの取り方

本がえしや生がえしほど一般的ではないが、半生がえしというかえしの取り方がある。これは、醤油は砂糖をとかす分だけ火を通し、残りは生で仕込み、両方を合わせて作る方法である。
生がえしと本がえしの中間的な作り方で、一例をあげると次のようにして作る。
全体に使う醤油の量の三分の一と味醂を合わせて、かえしがめの中に生のまま入れておく。これに残り三分の二の醤油を熱して砂糖を加え煮とかしたものを加えて作る、という方法である。

この他、かえしを取らない方法

一例をあげると、辛汁用のだしに砂糖を加え、弱火で煮とかし、さらに、醤油、味琳の順に入れ、火を通して、釜蓋をして2〜3分煮る。沸騰寸前に火を弱め、アクをひいて辛汁のでき上りである。