カレーなんばん【カレー南蛮】
               
参考リンク  たねもの【種物】

明治四十二年(1909)、大阪東区谷町五丁目の東京そば主人・角田西之介(東京目黒朝松庵。昭和45年没、86歳)が、営業不振挽回のため、そばに向くカレー粉を工夫して「カレー南蛮」を売り出したところ、浪花っ子にうけて見事図に当たった。
これに気をよくし翌年、東京に戻って始めたが、保守的な東京のそば屋相手なので、売り込みに苦労し、大正三、四年(1914、15)ごろようやく軌道に乗り出した、という。
カレー南蛮は長ネギ、カレーうどんは玉ネギを使うのが 定法で、鶏肉のほか豚肉なども使う。
また、元祖カレー南ばんの素本舗(東京都新宿区大京町)の三代目・杉本正勝氏によれば、明治43年、東京市四谷区伝馬町三丁目にあった食料品店田中屋の杉本チヨが、そば店向けのカレー粉を研究して、「地球印 軽便カレー粉」の名称で商標登録した。これより先、40年にカレー南蛮を売り出したのが早稲田の三朝庵(新宿区馬場下町)だった、という。


「カレー南ばん」は、いわゆる洋風の種物の走りであるが、そば屋の代表的な種物として今日定着しているという意味で稀有な例である。
″南ばん″という名称から、一般にはねぎを使うが、ねぎのかわりに玉ねぎを使うことも多い。
また、使用する肉については、ここでは鶏肉を用いたが、豚肉あるいは鴨肉でもよく、いずれの肉も脂身が多少ある方がよい。
作り方は、いろいろとあるが、カレーとそば汁の組み合わせ(出会い) によってもたらされた独特の風味が、この種物の魅力である。
たとえば、カレーライス同様、カレーだけ作っておき、注文があってから温めてそばにかけて出すという店も少なくないが、和風のそば汁で作る「カレー南ばん」は、そのつど作った方がおいしくできる。
そのつど作る方法でも、カレールウを作ってから、汁が熱くならないうちに加える方法の他に、次のようなものがある。
カレー粉と小麦粉を合わせたもの(たとえば七対三の割合)をあらかじめ作っておき、汁が熱くならないうちに溶き入れる方法もある。
さらに、水でといた片粟粉を入れてとろみをつける場合もある。この場合は、最後に汁を煮立てたところへ、水どきの片栗粉を加えるようにする。
いずれにしても、ポイントは、カレールウ、あるいはカレー粉と小麦粉を合わせたものをそのまま加える場合でも、汁の中で玉(かたまり)ができないようによくまぜてとかすことである。ことに、カレールウを入れた時は、火からはずして、よくかきまぜることである。なお、塩を少量汁に加えるとよい。味にメリハリがつく。「カレー南ばん」の場合は、特に薬味を必要としない。しいていえば、ねぎあるいは七味唐辛子であろう。

塩を少々汁の中に入れる。カレーのルウが水どきされているため、味にメリハリをつけるためである。 鶏肉を入れる。この時、汁は余り煮立てないようにする。
            材 料
  小麦粉(薄力)    大さじ1杯
  カレー粉        小さじ1杯
  塩            少々
  鶏肉          適量
  ねぎ          6〜7cm
  甘汁          250〜280cc
火を消すか、あるいは鍋をガス台から降ろし、カレーのルウをお玉で加える。

カレーのルウが玉にならないようによくかきまぜる。

火にかけ、かきまぜる。 汁があがってきたら、縦割りにしたねぎを入れる。 丼の湯通しして温めたそばの上から汁 をかける。 菜箸で具をきれいにととのえる。