きばち【木鉢】
こねばち【捏ね鉢】
                参考リンク  そばのどうぐ【蕎麦の道具】
                        そばうち【蕎麦打ち】

そば粉に水を加え、こねるときに使う鉢。「こね鉢」ともいう。
外径61p(二尺)で二sの粉をこねるのが標準。昔は、73p(二尺四寸)ほどで四sの粉をこねる大型ののものもあった。
材料は、栃(とち)がよく、一部ブナからも作られる。地方の農家では木地のまま使用することもあるが、そば店用には漆を施し、内部が朱、縁から外部を黒に塗り上げる。木鉢を使った作業が、蕎麦打ちの工程の中では一番重要でそばの味をほぼ決めるということから、仕事そのものを指す言葉でもある。また、諺で「木鉢をまわす」は、老いた姑が嫁に実権を譲り渡すことを意味する。そばを打つことを「木鉢をつく」ともいう。

地方によって、名称が異なり、江戸では「きばち」、京では「ひきはち」、越後では「ふくばち」、土佐では「きぢばち」と呼ぶ他、「こね鉢」、「しとねばち」ともいい、ことに、漆器のものを「塗り鉢」ともいった。また、地方によって、陶器製のこね鉢を用いるところもある。

信州北端の秋山郷は、江戸時代に越後の文人鈴木披之によって紹介されて以来表有名になった秘境だが、ここで主に木鉢が作られてきた。柄の短い手斧であらかたの形を作り、そのあと槍飽(やりがんな)で削って仕上げ、あと塗師屋が内側を朱に外側を黒にと色分けして漆で仕上げる。漆で仕上げたものは塗り鉢ともいう。
木鉢で練り上げると艶出しがきれいに仕上がるため、うまいそばの味覚を生み出す。手打ちにせよ機械打ちにせよ、欠かせない大切な仕事をなす道具である。地方によっては、陶器製のこね鉢を用いるところもある。


   黒内朱

木製くり抜き

 
    陶製のこね鉢