むじなそば【狢蕎麦】

長野県小諸市八満におけるそばの食べ方の一つ。味噌汁のなかに、ダイコンのせん切りを入れて煮て、そこにそば粉を入れ、かき混ぜたものをいった。群馬県松井田町坂本では、そばがきをさす。
また、安政四年(1857)、小林四郎左衛門(葛古)著『幾里盛具佐(きりもぐさ)』には、江戸時代の文化から安政にかけての信州・小諸藩内における衣食住の移り変わりが記されており、その中で、むじなそば、そば切りなど、そばの食べ方がふれられている。

「其頃迄は蕎麦を卑しく扱しと見えて、お袋の友たち衆来ると、蕎麦煎餅か、蕎麦焼餅か、寒い時にはそばがきかを出し、秋過には下男・下女迄むじな蕎麦とて味噌汁の中へせんきりを入て煮たて、蕎麦粉をかき交て喰し事をりくなり、今は黒粉にても、蕎麦切にうつて無造作にはせず、前にいふ文化八九年頃より小麦をいやしめ温飩にかけは馳走とせず、婚礼などにも縁の長く続くやうに蕎麦をあげます杯といふて、洒のあとへは蕎麦切を出す事半に過たり、」

はやそば【早蕎麦】
 
湯の中にダイコンのせん切りを入れ、ダイコンが柔らかくなる前に水で溶いたそば粉を注いでかき混ぜ、ドロドロの状態にする。これを汁の入った椀にいれて食べる。簡便にできることから、その名がある。昔の貧しい農家の忙しい生活のなかから生まれたそばの食べ方。長野県北志賀地方などに伝わる。