そばづくし【蕎麦尽】  
              参考リンク   そばかるた【蕎麦歌留多】
                       そばおんど【蕎麦音頭】
作者は鈍亭魯文。幕末から明治にかけての戯作者・新聞記者で知られた仮名垣魯文と同一人物と思われる。安政二年(1855)新春発行の『新板厄払』に収録。
 
         アアラ めでたいなめでたいな
         またあら玉の新蕎麦に
         御祝儀めでたき手打そば
         親子南ばん仲もよく
         女夫(めおと)ちんちん鴨そばで
         暮れるとすぐにねぎ南ばん
         上から夜着をぶつかけそば
         たがいに汗をしつぽくそば
         てんとたまらぬ天ぶらそば
         かみがみさんへあんかけの
         その御利益(ごりやく)はあられそば
         やがてお産の玉子とじ
         あつもりおいて育てあげ
         蝶よ花まきもてはやし
         かかるめでたきおりからに
         悪魔うどんが飛んでいで
         薬味からみをぬかすなら
         大根卸しでおろしつけ
          (けんどん箱の蒸籠より)
         したじの中へさらりさらり
 
ちんちん鴨は花街語、略してちんちん、男女の睦み合い。暮れるとすぐにねぎは、寝着と葱。てん(ずん)とたまらぬ天ぶらそば。御利益はあらり(歴然)とあられそば。玉のように美しい子と玉子とじ、子守りと熱もり、蝶よ花よと花巻そばというように掛け言葉が多い。ここではそばが主役なので、うどんは悪魔に仕立てられた。