そばがし【蕎麦菓子】


そば粉を使って作った菓子。
そば粉は小麦粉のようにグルテンを含んでいないので、そば粉だけではパンやスポンジケーキのようなソフトな食感は得られない。昔はそば粉をこねた「そばがき」をベースとして「そば串焼団子」、黄な粉をまぶした「そばあべかわ」や「そばあんかけ」といった素朴な食べ方が多かった。その後次第に工夫を凝らしたものが考案され、そば粉に小麦粉やヤマイモのすりおろしたものを混ぜ合わせて焼いたり、蒸すなどしてそば特有の風味を出した菓子類が作られるようになった。
代表的なものとしては、「そば饅頭」「そばカステラ」「そばボーロ」などがある。

そばカステラ 蕎麦カステラ 卵、砂糖、水飴または蜂蜜と薄力小麦粉を主原料とするカステラに、一〇〜二〇%のそば粉を加えたもの。ほのかなソバの風味が売り物である。最近ではさらにソバの若葉を加えた鶯色のそばカステラも話題となっている。
そばまんじゅう 蕎麦饅頭 そば粉と上新粉または小麦粉にヤマイモをすり込んで練り合わせ、広げて皮を作り、白餡、つぶし餡、こし餡などを包んで蒸し上げる。土産物として売られている一般的なものから、口ざわりが軽く、ソバの香り豊かな名店の銘菓まで、そば粉の多少により品質はまちまちである。そばは変質しやすいので早めに食べること。
そばボーロ 蕎麦ボーロ ボーロ(ポルトガル語)は、小麦粉に卵を加え、砂糖を混ぜて焼いた菓子。この南蛮菓子の製法をそば菓子に応用したもの。
京都の「河道屋」の名物そば菓子として古くから知られている。そば粉と小麦粉に卵、砂糖、蜂蜜、それに重曹などの膨張剤を混ぜて生地を作り、梅型に抜いてオーブンでやいたもの。製品名としては、「蕎麦ほうる」「蕎麦ぼうろ」がある。
そばせんべい 蕎麦煎餅 天明七年(1787)版『七十五日』には、菓子所として「五味せんべい所 相州様東手門前 伊藤長十郎」が紹介されており、その中に「雑穀 そはせんへい 栗せんへいきびせんへい 稈せんへい もろこしせんへい」とあり、そばせんべいが当時、売られていたことがわかる。
そばしるこ 蕎麦汁粉 小ぶりの「そばがき」をを入れた汁粉。あずき餡をかけたり、そばがきの代わりにそば切りを使う場合もある。そばぜんざいは関西風の呼称。また、そば粉に砂糖を加えて汁粉風にしたものもある。
そばようかん 蕎麦羊羹 そば粉を混ぜて作った羊羹。水に浸けてもどした寒天と砂糖を湯に入れて煮溶かす。冷めた時点でそば粉を加えてよくかき混ぜあわせ、さらに小豆餡を加えて軽く炊き、型に流して冷やし固める。
そばらくがん 蕎麦落雁 落雁は京都を中心に作られた日本古来の打ちもの千菓子の一つである。そば落雁は、そば粉を軽く煎るか蒸したところへ、アルファー化したもち米の粉を混ぜ、砂糖を加えてよくもみほぐし、いろいろな形の木型に詰めて抜き取り乾かしたもの。ぱりっとしてしかもとろりとした舌ざわりと、ソバ独特の風味に特徴がある。
近年では、抜きソバをパフマシンで加熱処理した粘りのあるそば粉を利用して、そば100%の落雁も作られるようになった。
そばゆべし 蕎麦柚餅子 和歌山県本宮町上地に古くから伝えられてきた名品である。
柚子を主原料としたものだが、現在では米の粉に小麦粉、味噌、砂糖、を混ぜ、これに柚子の汁か皮を入れて蒸し上げている。そば粉と赤味噌・白コマ・トウガラシを練り合わせ、上部からえぐり抜いた柚子に詰め、蒸してからわらづとに入れて寒ざらしにしたものが本来のそばゆべし。
そばいた 蕎麦板 菓子司として室町時代に創業、江戸時代からそば屋となって今日に至る、京都の「本家尾張屋」の名物そば菓子。そば粉に水飴状にした砂糖、卵、少量の塩を混ぜ合わせて錬り、長方形の薄板にして、鉄板で焼いたもの。表面に黒ごまをまぶす。カリッとした食感と香ばしい風味にそば粉ならではの味がある。
そばおこし 蕎麦おこし おこしは、岩おこし、雷おこし、粟おこしなどが知られており、米を原料とした日本最古の干菓子。そばおこしは近年開発されたもので、そば米を急激加熱して膨化させたおこし種に砂糖、水飴を混ぜ合わせて適宜の形に切り、それを焙炉で乾かしたもの。噛むほどにソバの味があり、古くて新しい菓子といえる。なお、最近は小麦粉やでんぶんを使った軽いスナック的なおこしも多い。
ソバ・スナック
そば米は加熱条件を変えることにより形、食感、香りの異なるスナックができる。麦などを焙焼する砂炒り機にかけて3〜4倍に膨化させると、香ばしい歯ごたえのよいあられ風のスナックとなる。
また、爆弾あられといわれる「とっかん方式」で7〜8倍に膨化させると、大きさが大豆ほどのポップコーン風のスナックになる。パフマシン(エキストルーダー)で約10倍に膨化させると、さくっとした棒状スナックとなる。いずれも塩味や調味料で味つけしたり砂糖やチョコレートをコーティングして食べられる。このほかに、調味料、青海苔、エビなどを混ぜて、一定の容器内で加熱加圧した「そばぽんせんべい」も昔なつかしい新しいスナック菓子である。
たけながし 【竹流し】 青森県弘前市にある「大阪屋」の名物そば菓子。 大阪屋は創業360年余の、初代より津軽藩の御用菓子司をつとめてきた老舗。竹流しは、大阪屋四代目福井三郎右衛門橘包純が安永2年(1773)に創製したものといわれ、津軽の金鉱で、青竹を縦に割り、節と節との間に金を流し固めているのを見て考案したという。
当初は長さ18p、幅6pほどもあったが、のちに食べやすく小さくした。そば粉(一番粉)に小麦粉と砂糖を加えて水で練り上げた生地をめん棒で丸くのし、四つただみにして縦7p、横3pほどの短冊型に切る。これを鉄板に並べて焼き上げる。
むらしぐれ 【村時雨】

創業が承応年間(1652〜55)の京菓子の老舗「松屋常磐」(京都・堺町御門)のそば菓子。新ソバの獲れた晩秋の一時期だけ作る(現在は、製造を休止している)。作り方は、そば粉に、ツクネ芋、砂糖を混ぜ込み、よくこねて生地を作る。この生地の上に、こし餡とつぶ餡をのせ、ゆがいたギンナン、ユリネ、クリ、干柿を置き、生地で包んで、じつくりと蒸し上げる。