てんぷらそば【天麩羅蕎麦】
               
参考リンク  たねもの【種物】


タイショウエビ、クルマエビなどの天ぷらを「かけそば」の上にのせたもの。
「かき揚げ」にする場合もある。
『守貞漫稿』に「芝海老の油あげ、三、四を加ふ」とあり、また文政十年(1827)の川柳にも「沢蔵主天麩羅蕎麦が御意に入る」と詠まれていることから、文政(1818〜1830)頃に売られていた。

「天ぶら」の種には、当時江戸前の芝海老が使われていた。
芝海老は、二、三本摘んだ″つまみ揚げ″か、″かき揚げ″が多かったようである。
当時から、「鴨南ばん」と並んで、種物の中の上物で、客人を持てなす時によく注文されたものである。
天ぶらの海老は、現在では、車海老あるいは大正海老を棒揚げにする場合と、芝海老をかき揚げにする場合とに大別される。ここでは、棒揚げの場合を紹介する。
また、最近では、冷凍ものが圧倒的に多く用いられるが、この場合、注意することは、一度に下ごしらえしないことで、解凍したままにしておくと、アンモニア臭が出ることがある。まだ氷が少しあるうちに下ごしらえをすませ、とけると同時に揚げるのが理想的である。

天ぶらを揚げる油は、江戸では、白っぽいと品がよすぎることと、香りを生かすため胡麻油が原則であったが、最近では、サラダ油やしらしめ油など、色々である。ただし、江戸そばの流れをくむ店は、胡麻油を使うときつね色にあがるので胡麻油を主体に使うことが多い。
油の温度は一般に、活け海老の場合は、180度Cで短時間で、冷凍海老の場合は170度Cで少し長めに揚げるとよい。ことに、海老のうまみが逃げないように、海老のまわりに衣をからませるようにしてローソク状に揚げるのがポイントである。ことに、まっすぐに揚げるためと、衣がよくつくように、下処理の段階で、腰の腹側を三ヵ所ぐらい包丁で切れ目を入れるか、手で折って、まっすぐにのばしておくことが大事である。

これまでは、そば屋の天ぶらは揚げ置きが当たり前であったが、最近では、通し揚げ、つまり揚げたてを提供する場合が増えている。しかし、揚げたてを提供する場合でも、そばの淡白さをそこなわないように、油気をよくきってから、そばにのせることを忘れてはならない。
他に、天ぶらを用いたものに「天せいろ」があるが、これは昭和に入ってから考案されたものである。
薬味は、わさび、柚子など、また、青味も油のしっこさを消すために必要である。

丼の中に湯通しして温めたそばを入れ、上から煮立てた汁をはる。 揚げたての天ぶらを尻尾を丼の外にかける感じで、中央に二匹置く。
          材 料

  天ぷら
    車海老(冷凍)   2匹
    卵          2個
    天ぷら粉  水の量の約1.5倍
    油
       サラダ油      適量
       胡麻油       適量
  三つ葉         1本
  柚子          少々
  甘汁        250〜280cc
  
青味として、三つ葉などをそえる。  柚子を一切れ置く。


  ● 参 考

     海老の下処理
有頭の海老の場合は、頭を取り、尾と一節を残して皮をむく。 背に包丁をいれ、たてに切る。
背わたを引き出し取り除く。小さな海老の場合は、竹串で背わたを取るとよい。 尾先中央の″けん″(トゲ)は油をはねるので、包丁で先を切り落とし、水分を出す。


揚げた時、海老が曲らないように、腹の筋に三、四ヵ所包丁をいれる。包丁を使わず両手で筋をのばすようにしてもよい。 両手で包丁の切れ目をのばすようにして、海老をまっすぐにする。こうすると衣がつきやすい。


天ぷらの衣の作り方
ボールに卵二個を割って入れる。  卵をよくとく。 夏季には氷水のような冷たい水を4〜5カップ分加える。 よくかきまぜて卵水を作る。


水の約1.5倍の量の小麦粉(薄力粉)をふるいにかけて、卵水にまぶす。小麦粉も冷蔵庫で冷やしておいた方がよい。 小麦粉を「い」の字を書くように混ぜ、卵水になじませる。余りかき混ぜて、ねばりを出さないように注意する。



天ぷらの揚げ方
海老の尾を持ち、衣をさっとくぐらせる。 油の温度は170〜180度C。腹側を上にして海老の頭の方から泳がすように油の中に入れる。 棒揚げとかローソク揚げといわれ、まっすぐに姿よく揚げる。海老のうまみが逃げないよう、まわりに衣をからませる。 

太い木箸から衣をたらすようにして、花をさかせる。鍋のふちを利用して天ぶらの形をととのえる。


衣がついたら、奥の方へ流し、次の揚げに移る。 揚げかすを平しゃくですくう。花をさかせる揚げ方は、衣が散るので、まめに揚げかすをすくう。 揚げ箸で、海老の尾をはさんで引き上 げる。

油切りの上にのせて、油を十分切る。