つきみそば【月見蕎麦】
    参考リンク   たねもの【種物】


生卵を乗せた代表的な種物。
正式には温かいそばの上に四ツ切りの海苔を敷いて、卵を乗せた後、汁を張る。卵の白身が汁の熱さに白雲のようになり、海苔の夜空にくっきりと黄身が月を表す。青味を見越しの松に見立てて、青ユズを添えると、秋の味わいとなる。

「おかめ」同様、具の配し方によって、″あるもの″を表現した品書きである。「月見」の名の通り、月の様子を丼の中に表現したものだが、趣向としては″田毎の月″にちなんだ風流な品書きである。 ″田毎の月″とは「長野県更級郡冠着(かむりき)山(伝説では姥捨山)の山腹の、小さく区切った水田の一つ一つにうつる月」(『広辞苑』より)を指す。
そばに縁の深い土地だけに、これにちなんで、かけそばに海苔を四角に切って、田になぞらえ、そのまん中に卵を落として月になぞらえて商品化したものである。時には、しらが昆布を雲にみたててそえることもある。
具をそえるだけの、ほとんど調理を必要としないかのようにみられがちな品書きであるため、現在では、「おかめ」同様、本来の姿がほとんど守られていない。ことに、立喰いそば店では、ポピュラーな品書きの一つなので、とかく、かけそばに卵を落としただけといった印象が強い。
この書きのポイントは、いかに田毎の月を表現するかにある。
  ・卵が中央にくるようにすること。
  ・汁が卵で濁らないようにすること。
そのために、丼に盛ったそばの中央を凹ませ、その上に海苔をひく。また、汁をかける時も、最初は、お玉で卵の部分にだけ煮たった汁をかける。そして、卵の白身をうっすらと白く固まらせることが大切である。その後で、汁を静かに片手鍋から丼にそそぐのである。
卵を使ったそば屋の品書きはほかにも多いが、この「月見」と「玉子とじ」、それに「かき玉」は、その代表的なものである。ことに、視覚的効果を狙った「月見」は、他の二品と比べ、調理は簡単であるが、それだけに、ていねいな仕事が要求される。
最近では、「花まき」同様、注文の少ない品書きの一つだが、盛り付けの基本を守れば、風流で、見た目にも楽しい品書きである。
また、この「月見」の考え方を基本に、新しい品書きを創作することも可能である。しかし、「月見」ほど単純にして、かっ完成度の高い品書きは、なかなかむずかしいであろう。
薬味は、七味唐辛子、大根おろし、さらしねぎといったご三家の他、何でもよい。

海苔をまず半分に折って切る。 切ったものをさらに半分に折って切り、さらに対角線に折って切ると、三角形の海苔ができる。
         
             材 料
    
      卵         1個
      のり        四分の一枚分
      かまばこ     1切れ
      三つ葉      1本
      甘汁       250〜280cc

丼に湯通しして温めたそばを入れ、そばの中央辺りに、卵を落とした時に動かないよう箸で少しくぼみをつける。

先ほど三角形に切った海苔をそばの上に二枚のせる(四分の一枚分)。

片口から卵を一個、海苔の中央に落とす。くぼみができているので横に流れない。  卵の白身が少し濁る程度(白身がやや固まる)に、お玉で卵の上だけに沸騰した汁を少しかける。 うっすら卵が固まったら、片手鍋から煮立てた汁を静かに流し入れる。 うっすら雲がかかった満月のように仕上がる。かまぼこや三つ葉などを置いてもよい。