やくみ【薬味】
           参考リンク  やくみばこ【薬味箱】
                   かやく【加薬・加役】

薬味は、そばに香りや刺激を与え、食欲をそそり、そばだけでは足りない栄養を補給する。また、薬味という文字通り、薬の役目を引き受ける。殺菌、防腐、解毒作業で、食当たりや食中毒を防ぐのである。
たとえば、もりそばに「大根おろし」や「しそ」を添えれば、そばに足りないビタミンCやビタミンAを補えるし、「わさび」や「七味唐辛子」は食欲増進と殺菌効果を発揮する。
では、それぞれにどんな効果があるのか。

【ねぎ】
ねぎは禰宜、邪気を払い清める神官に通じるともいう。
ネギ特有の香りと辛味」がめん類の薬味として良く合う。関東では、白ネギ(根深ネギ)、関西では青ネギ(葉ネギ)が好まれる。ネギが薬味として使われるようになったのは江戸初期からと言われており、昭和」15年(1940)頃まで東京のそば店では「千住ネギ」が使われた。東京千住(足立区)近在で作られていたもので、一般の惣菜用ネギより値段が5倍もして最高級のネギとして知られていた。
また、大阪では難波付近で作られていたという「難波ネギ」が知られ、めん類の薬味として重宝がられたという。
そばにはビタミンB1が豊富に含まれているが、ねぎの成分である硫化アリルがより吸収を高め、むだなく活用される。そばと共に食べれば、体を温め、内臓の働きを盛んにし、血液の循環を良くするため、冷え性改善や疲労回復、強肝作用が働く。

【大根おろし】
硬くて小ぶりで辛味のある大根が、そばと相性がよい。皮付きのまま尻尾の方から卸すと辛くて良いとか、腹を立てて卸すと辛さを増すといわれる。
大根おろしのジアスターゼが消化を助け、食欲をそそり、食あたりを防ぐ。皮に近い部分に含まれているビタミンPが血管をを強化し、高血圧や脳出血を防ぐ。おろしたての大根はビタミンCも豊富、胃腸が弱い人や二日酔いにも効果がある。

【七味唐辛子】
略して「七味」または「七色」。「七色唐辛子」ともいう。
蕃椒(とうがらし)、陳皮(ちんぴ=みかんの皮)、山椒の実、しその実、ごま、けしの実、麻の実・・・の七味。青のり、菜種を入れる場合もある。
唐辛子のカプサイシンは、少量でも血行が良くなり、体を温め、食欲を増し、ビタミンEとカルシュウムの吸収を良くする。赤い色はカロチンで、ビタミンAの効力が非常に高い。勿論、薬味の入れすぎは禁物。あくまでも、「そば」が主役。

東京・浅草、京都、長野・善光寺前の老舗が有名。


            七味入れのいろいろ

【わさび】
辛味成分のシニグリンが、食欲を増し、消化を助け、強い殺菌力や防腐力を発揮して、食当たりを防止する。そばに含まれるビタミンB2の働きを高める効果がある。めん類の薬味としては欠かせない。
栽培は、湧き水や灌激漑で行われている。信州系、伊豆系、宮崎系など産地別に区分されている。


【海苔】
そばに少ないビタミンAやカルシュウム、鉄分などのミネラルを含み、身体の抵抗力を増して、腸の機能を整える。又コレステロール値を下げ、血管の硬化を防ぎ、脳卒中や高血圧を防止する。

【胡麻】
ビタミンA群やカルシュウム、ビタミンE、鉄分などをバランス良く含み、神経過敏を抑制したり、便秘や動脈硬化を防いだり、血管を美しく保ち美容に良いと言われている。

【しそ】
鮮やかな緑と独特の香りが食欲をそそり、強い防腐力がブドウ状球菌を抑制し、食中毒予防のもなる。ビタミンAの含有量が多く、鉄分、ミネラル、ビタミン2, ビタミンCなどの宝庫である。慢性疲労や倦怠感をなくし、脳貧血、食欲増進に役立つ。

【しょうが】
独特の香りと辛味が食欲を増し、胃液の分泌を盛んにする。消化作用を助け、胃腸を温め、血行をよくするので冷えや痛みを取り除く。

その他
 唐ガラシ、干し山椒、ケシ、胡椒などは保存しておいて、年中いつでも用いているが、季節季節の旬の菰菜も自然の恵みを利用したいい薬味として利用できる。たとえばフキノトウを細かく刻んでかけそばに添えたり、タケノコが出初める頃の″若竹そば”(若布と筍)には、ちょうど出盛りの木の芽を添える。掌でボンと叩いて、その香りを引き出し、たっぶりと添えたりする。サッと湯をくぐらせた花山椒も嬉しい。
 ショウガも″鰻ちりそば”やあんかけそばには必ず用いるもので、鯉ちりそばにはしぼりショウガと刻みネギ、あんかけにはすりショウガが葛の匂いを消してくれる。
 このほか、青シソ、練りカラシ、秋には柚子も用いるが、こうした薬味を二、三種とり揃えて添えることもある。一種だけでなく他種の薬味を用いることで、より一層そばの風味を引き立たせることもあるからだ。